由紀子と省吾
Posted at 06/09/22 PermaLink» Comment(3)» Trackback(0)»
友近と劇団ひとりはとても似たタイプの芸人だ。どちらも人間の心理をたんねんに描きこむような精密な構造の一人コントを得意とする。でも、両者の芸風にはある重要な違いがある。
それは、演じ手とキャラとの距離感の差だ。劇団ひとりの演じるキャラクターは皆、彼自身の分身である。例えば「茨城のヤンキー春樹」というキャラはヤンキー時代のひとり自身の姿を投影していると考えられる。他のキャラでも同様で、劇団ひとりは自分自身の情けない部分やかっこ悪い部分をキャラに投影してデフォルメして演じているのだと思う。
一方の友近にはそういうにおいを感じない。ソーセージ売りのおばさん吉山は度を過ぎたキチガイだし、結婚式のスピーチではしゃぐOLに皮肉屋の彼女が自分を投影しているとは到底考えられない。友近の目線は徹底的にクールだ。彼女はキャラに入りこまない。自分がまったく共感できないような存在にあえてなりきっているような感じさえする。
いわば、劇団ひとりがキャラを内面から演じているのに対して、友近は外から見た部分だけを演じているような印象を与える。例えば、電車の中で女性専用車両と一般車両の間を勝手に見張ろうとするオッサン。こんな人は世の中にはたぶん存在しない。でも友近は、もしいるとすればこういう感じの態度でこういうことを言うだろう、というのを外側から想定し、演じきってみせる。だから非現実的なキャラクターにもなりきることができるのだ。
まったく異なる芸風で同じようなスタイルのネタに到達し人気を博している二人の芸人。この二人がたまたま同じ時代に世に出てきた、という偶然が何とも興味深い。この二人が対談する番組とかあったらおもしろいと思うんだけどなー。
"由紀子と省吾"へのコメント
CommentData » Posted by おかま at 06/09/23
薄々気づいていた事を、明確に言葉にしてくれて気持ちよい。
CommentData » Posted by 閃光 at 06/09/23
劇団ひとりの芸はあまり見たことが無かったんですけど、
こうやって対比して書いていただけたおかげで、理解が深まりました。
CommentData » Posted by ラリー at 06/09/23
劇団ひとりはテレビであんまりネタをやらなくなったよね。