笠辺哲『フライングガール』評論バージョン

Posted at 07/04/11 Comment(2)» Trackback(0)»

笠辺哲は人物の眼の描き方が独特だ。実物の人間の眼は完全な円よりもかなり横長で、まぶたは縦方向に閉じられる。だから今どきのマンガでは通常、人物の眼の輪郭は2本の横向きの線によって描かれる。だが、笠辺は違う。『フライングガール』の表紙を見れば一目瞭然、彼は眼の輪郭を縦向きの2本の線で描写する。これが、マンガを見慣れている人間にとっていかに異様であるか。

ただ、笠辺の素朴な筆致で描かれた人物の表情は、異様ではあっても不気味だったり醜悪だったりはしない。むしろ、不思議な温かみのようなものがそこには生まれている。それはヒロインの磯貝サンというキャラクターの魅力ともそのまま重なる。彼女はトッド博士の奇想天外な発明をそのまま受け入れて楽しんでしまう。空を自由に飛び回り、災害や事故や事件にも動じない。そう、なんといってもここはマンガの世界。SFでもいいじゃん、楽しければそれでいいじゃん、というエンタメのド基本に読者をグイッと立ち返らせてしまう見事な技量。

なんつうか、作者の空想や妄想がほぼそのままの形で紙面にブチ込まれているはちゃめちゃな名作。シリアスでもギャグでもないが、底抜けに楽しめる。私の拙いマンガ知識で言えば、宮崎駿と水木しげると藤子・F・不二雄のエッセンスだけを取り出してごった煮にしたような作風。マンガってすごいなあ、と久々に思った。

b.gif←コカンの痛み

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CommentData » Posted by ふしぎ at 07/04/12

その目の描き方、どんなんだろーと見てみたくなりました。
ヤギとか、そういう瞼の動物はいるけれどねえ。
週末に漫喫で慢徹を繰り返している私としては、
近々読んでみようと思います。

CommentData » Posted by ラリー at 07/04/12

眼の描き方については、表紙を見ただけでもちょっと独特だとわかるのではないでしょうか。まんてつ、私もたまにやります。徹夜はお肌に悪そうだからなるべくなら避けたいんですけどね。

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